9月19日から22日にかけて栂海新道をソロで歩いてきました。
栂海新道・・・
北アルプスと日本海をつなぐ、ロングルートです。
山雑誌では登山者憧れのルート!なんて紹介されたりしてます。
日本アルプスと海をつなぐルートは、これくらいなもんらしいです。
ああ、いつかは行ってみたいな。
と憧れていたんですが、余裕持った日程だと3泊4日が必要で、行けるとしたら盆休み。
しかし、盆では標高が下がるにつれて暑くなり厳しいらしい。
こんな理由から先送りしていた。
いつ行くの?(古)
とここで、シルバーウィークの登場である。ついにチャンスが巡ってきた。
9月末なら気温の心配はなさそうだし、これは行くしかない!
なんといったって次回のシルバーウィークは11年後ですからねえ。
ほんとに今!しかなかったわけです。
栂海新道は朝日岳の少し北にある、吹上のコルから始まります。
吹上までは蓮華温泉からも入れるし、栂海新道に行くルートはいくつかあります。
ただ、やるなら白馬岳から行きたかった。
白馬岳は標高約2900m。そこから海抜0mまで下るのが一番面白いぞと教えられたので。
9月19日(土)(1日目) 猿倉荘~白馬頂上宿舎
前日の仕事を終えてから白馬の猿倉荘へ。
夏山やBCで何度も来たなじみ深い場所だ。
日付が変わる前に到着し、車で仮眠。
起床は午前4時前。
興奮と次々に駐車してくる車が気になり、あまり眠ることができなかった。
準備をして、猿倉荘で登山届を提出。
係りの人に見せてチェックをする徹底ぶりだ。
「栂海新道か!遠いけど頑張って」と激励をもらい、ヘッデンの明かりとともに歩き出す。
前回の盆休みでは、荷物が重かったので今回は少なくするぞ、と意気込んでいたものの蓋を開けてみれば、なんてことはない。
盆よりも重かった・・・
防寒着のせい?簡易アイゼンあるから?
はい、飯のせいです。
今回一人だし、重くても大丈夫でしょというポジティブ思考。
70リットルのザックは今日もパンパンだ!!
大雪渓を登り終え、後ろを振り返る。
雪渓は霧が立ち込め、風が強かった。
雨具は着たが上下濡れ濡れ。
睡眠不足のせいか、腹減りのせいか、体力・筋力不足か、足取りはここから重くなる。
少し登って立ち止まり、登って立ち止まり・・・
やがて頂上宿舎が見えてきた。あともう少しでノンビリ飯が食える。
時刻は午前9時、テン場に一番乗り!!
選び放題だ。ただ抜けていく風が強く、張り場所選定に時間がかかる。
どこに張っても風が強そうなので、とりあえず騒音対策から一番奥にした。
飛ばされそうになるテントと格闘し、ほっと一息。
さあ、飯だ。
アルファ米とコンビニで売っているパウチ肉。
マヨネーズでカロリー補充。
そしてウイスキー、マッカラン12年。
ペロリと平らげた。
本当は杓子と鑓にも行きたかったけど、風強いし、ガスったり晴れたりなので昼寝。
起きたら風が少し弱くなっていた。
白馬ホテルと白馬岳。ゴロゴロしているのがもったいない良い天気だ。
・・・テントに潜って小説を読む。
伊坂幸太郎の「モダンタイムス」、上下巻を読み終えるのも今回の山行の目標。
夕方、かすかに赤く染まりつつあるテン場から稜線へと上がり、夕日を見に行く。
テン場は結構うまっている。風は完全に止んだ。
モクモクな雲海と赤く染める夕日、素晴らしい景色だった。
さっそくカメラでパシャパシャ。
みんなもパシャパシャ。
デジタル一眼にしてから写真を撮るのが大好きになった。
なんかもう満足してしまって、明日下山して家でゆっくりしようかな?なんて思ってしまった。
夕焼け、恐るべしである。
この日は午後8時半に就寝。
9月20日(日)(2日目) 白馬頂上宿舎~雪倉岳~朝日小屋
午前3時起床。何度か起きたが睡眠はバッチリ取れた。
4時半に白馬山頂を目指す。日の出を見るのです。
日の出前、山頂に。少し雲はあるものの、期待できそうな感じ。
しかし、東に雲が多く微かに赤く染まっただけで終わり。
気を取り直して朝日岳方面へ。
夏山でこの先は初体験ゾーンだ。どんな景色が見えるのか、いつもワクワクする。
白馬岳2932m。これより先はアップダウンを繰り返しながら日本海に向かう。
三国境より、先の縦走路を見る。
登らないが左に鉢ヶ岳、その先は雪倉岳。そしてその少し左で奥にあるのが朝日岳。
天気は抜群、雲海の雲が上がってこないのを願い進んだ。
雪倉岳直下、雪倉避難小屋。管理人さんが修復作業をしていた。
GW白馬BCのとき、ここは海老の尻尾が沢山できていた極寒の地だったなと火照った体で思い出す。
この先の尾根は風が強くて怖かったんだよな、と思うも今回は何ともまあ穏やかである。
天気よく影もくっきり。
やっぱザック、ボリューミー。
途中後方振り返り、眼前に広がるは・・・剱岳!!
やっぱカッコいいっす。
雪倉岳からはひたすら下って、細かなアップダウン。
ボディーブローのように効いてくる。
やがて小桜ヶ原。木道と池塘が美しい。朝日岳も近づいてきた。
この日は朝日岳に登ら水平道を経由して朝日小屋へ。
ただこの水平道、前情報通りアップダウンがあって全然水平じゃない・・・
そろそろ着きそうなんだけどと、格闘することしばし。
朝日小屋の三角屋根が見えてきた。
昼少し前の朝日小屋テン場、今回も選び放題だ。
このテン場も夕方は・・・
テント盛りだくさんになりました。
ちなみにこの日、朝日小屋には90人近くが宿泊したようです。
そのうち何十人もの人が栂海新道を目指すらしく、テント受付のおじさんに明日は栂海山荘泊りではなく、先の白鳥小屋がいいよとのアドバイス。
えっと・・・コースタイムで14時間くらいあるんですけど・・・
今回はゆっくり歩きたいから、栂海山荘泊りでいいやと、この時は考えておりました。
この日の夕方は
迫力のある雲海、しかし夕日は山に隠れそうなくらいぎりぎりなので、さっさと諦めて寝袋に潜り込む。
午後8時就寝。
9月21日(月)(3日目) 朝日小屋~白鳥小屋
午前3時起床、4時半出発。
山頂までは60分。余裕をもって日の出に立ち会えそうだ。
しかし、真上は晴れているものの、少し遠くは雲がうっすら。
ガスも少しかかり、こりゃ日の出拝めないなと先へ進む。
と、ここで雲が抜けていく。
日の出が見えてきた!!
なんというベストタイミング。
赤く染まる眼前。さあ、今日も楽しむぞと気合が入る。
何せこの日から栂海新道に入りますからね。
先の稜線もバッチリ。右がわに歩いていきます。
鞍部にある白いぽちっとした点。
吹上のコルの看板でした。
いよいよ、ここから栂海新道。日本海までつながる登山道です。
ここから先は、写真のように抜き打ちで作られた看板が続きます。
吹上から木々の間を抜けていくと、木道が出てきます。
その先にはアヤメ平。
いきなり眼下に現れたそれは、あまりにも美しすぎて、しばらく立ち止まってしまった。
黒岩平付近。当時は気づかなかったが、なんと犬が岳が見える。そのすぐ近くに当初泊まる予定だった栂海山荘がある。まだまだ遠い。
写真右側にいるのはトレランおじさん。朝日小屋から親不知海岸まで1日で行ってしまうという。50過ぎくらいだろうか、何とも軽快に進んでいた。
少しだけ一緒に進んで会話したけど、さすがに同じペースは無理だった。
朝日岳方面を振り返る。
いやあ、今日もいい天気。少し雲が出てきたけど。
犬ヶ岳へ向かう途中の稜線から。
あれって海岸か?実はこれ、海岸沿いを走る道路でした。
犬ヶ岳です。本来ならここから近くの
栂海山荘に泊まる予定。しかし、ここまでざっと20人以上は抜いてきた。さらに後方には沢山人がいるだろう。
あの人たち全員がここに泊まるとしたら・・・完全にキャパオーバーしそうだった。
7時間爆睡でコンディションの良かったこの日、栂海山荘は午前10時前に着いた。
ならば先に進むしかあるまい、と少し休憩して先へ。
こんな山奥に無人とはいえ立派な小屋だ。
ステンドグラスもありました。ふ、ふつくしい・・・
休憩中、親不知から登ってきた兄ちゃんに、先の菊石岳で熊と鉢合わせしたと言われ、嫌いな熊鈴を初めて付けた。
これがまあ、チリンチリンうるさくて片耳がキーンとしてしまった。なのですぐに外した。
犬ヶ岳から先もアップダウンが続く。
黄蓮山、菊石山、下駒ヶ岳を通過。標高が下がり、昼も過ぎたので気温が上がってきた。
ハイドレーションを吸う回数が増える。ついには2リットルを飲みつくす。
残りは予備水兼調理水500ml弱だ。予定より飲みすぎてしまった・・・
この先の水場は白鳥の水場のみ。あとは1時間ほど戻ったところの黄蓮の水場か、白鳥山より先に1時間ほどのシキ割しかない。
脳内で水会議を始める。白鳥の水場は、夏場枯れることがあるそうだ。
もしこれが枯れていた場合、晩飯で水はあまり使えないし、翌日の飲み水もかなり節水しなければいけない。
白鳥小屋からは4時間もあれば海に着くから、最悪500mlも飲み水があれば大丈夫。
でも晩飯で最低限の水しか使えないと、寂しい食卓になる・・・
すべては白鳥の水場にかかっていた。
水があれば、晩飯は豊かに、水も思う存分飲みながら海に向かえる。
水がなければ、つぶれたパンと行動食が晩御飯。朝飯も行動食。
水場の看板だ。さあ、水を見つけて豪遊できるかどうか!!頼むよ!!
・・・あ、あれ。枯れてる・・・?
と思ったら岩の割れ目から水がでていました!
やった!豪遊できる!!
それからの行動は早かった。水を4リットル弱汲み、のどが渇いていたのでガブ飲み。
この時は嬉しさのあまり、テンションおかしかったです。
でも4キロほど一気に重くなったザックにはムカつきました。
白鳥山と山頂にある白鳥小屋。
やっと到着。先着者が何人かいました。こりゃあ、ここも一杯になるだろうなと思ったが、予想は的中する。
テントも満タン、小屋内は残り3名ほどだったという。
しかし手前の栂海山荘は、満タンも満タン、かなり大変だったようだ。頑張ってきてよかった。
この白鳥小屋のトイレ、かなりワイルドです。
簡素な掘立小屋があり、床は鉄網。床の真ん中あたりに程よい穴が。
そうです鉄網の上で、床穴に向かってするんです。大も小も、男も女も共用です。もちろん下を向けばデッカイのがゴロっと。
しかも山の斜面にダイレクト。
恐ろしい妄想もした。年季の入った鉄網の床が抜けたら、汚物にダイブだよね・・・ダイブして斜面を滑り降りるのか・・・
クソータースライダーだな、こりゃ。
水もゲットできて夕飯は豪華に。
翌日は4時間で海、ゴールだ。早起きしなくていいし、ゆっくり本を読む。
目標の小説読破もし、満足して午後9時に寝る。
その前にトイレトイレ。
空にはすごい数の星。オリオン是と冬の大三角を見つけた。明日も天気は良さそうだ。
9月22日(火)(4日目) 白鳥小屋~親不知海岸
朝は4午前時くらいに周りの撤収ガサゴソ音で起床。
行動時間が短くて済むのに、暗いうちに動き始めるのはダルイので2度寝。
明るくなった5時半ごろにモッソリ起き上がる。ゆっくり朝飯作る。朝は生姜焼きとドライカレー、がっつり食べる。
ああ今日で帰りか、ボーっとしながら撤収。
ほとんどみんな出発した午前7時前。白鳥小屋の屋根にかかる垂直梯子を登って、木に覆われた進んでいく稜線を見る。
よし、海まで頑張りますかな。
尻高山、入道山を越え、あともう少し。
鉄塔の下を二度くぐり、木々の向こうは海。トラックの走る音も聞こえる。
もうすぐだ・・・
親不知観光ホテル!
ついにここまでやってきた。海岸まであと少しだ。
後ろ手には栂海新道の入り口。
はい、ここから距離400m、標高80m分下りないと海抜0mの親不知海岸にたどり着けません。
地味にきつい。特に帰りの登りが・・・本当はザックを下していきたいけれど、ここで下すなんてもったいない。
ちゃんと0mまで一緒に進むのです。
ついに海岸が見えてきまして・・・
親不知海岸です!
続々到着する登山者は思い思いに行動します。
写真撮ったり、電話したり、着替えたり。中には水着で泳ぎだす老夫婦もいました(といっても60代くらい?)。
ホテルまでの登り道、泳いでいた老夫婦と鉢合わせ。奥さんは「案外みなさん、泳がないもんなんですねえ」と一言。
なかなか、ぶっ飛んだ奥さんだ。仮に結婚するならこんな人よなあ。
標高2932mから0m、距離50km弱を歩き切りました。
いやあ天気は4日間通して晴れ、トラブルも無しの素晴らしい山行となりました。
天気よすぎて、今シーズンの山は全部天気悪そうな気さえします。
あとは日本近代登山の父と呼ばれる、ウォルター・ウェストンの像を見て。
これでもかと目に焼き付け。
お待ちかねの風呂!
先ほどの親不知温泉で、車で駅送迎&風呂が1500円をやっています。
汗くっせえシャツを脱ぎ、入った風呂は格別。
ウェットティッシュがあれば何日も入らなくて大丈夫だけど、やっぱり風呂は気持ちがいい。
まさしく命の洗濯ですなあ・・・
親不知駅からは電車を乗り継ぎ南小谷駅へ。途中1時間の待ち。
さらに南小谷で1時間以上電車を待たなくてはいけない。しかも、待った挙句10分ほどで白馬駅だ。
そこから猿倉荘までタクシーかバス。バスは最終便が出たので、タクシーだ。
なので南小谷から猿倉荘までタクシーを利用。
ようやく車に着いた。
10時に親不知に着いたのに、猿倉には夕方着。なんとも時間がかかった。
あとは帰りの渋滞があったので、飯を食いつつ仮眠して、夜中に家へ着。
お疲れビールを飲んで、泥のように眠った。
池巡り
今回の白馬から親不知までの間、池が沢山ありました。
三国境の先には、長池。
雪倉岳付近、雪倉池。これ、ハート型らしいです。
わーロマンチックー(棒)
赤男山の西にある、ゼンマイ池。
吹上のコル付近の朝日池。
その先、照葉の池。
黒岩山の先、文子の池。
お花たち
白馬岳の花は寂しくなっていたものの、朝日岳付近は咲き乱れていました。
今回は珍しく花も撮ってみました。
・・・でも名前と花が一致しません。花は難しい・・・
これは、カラマツソウでしょうか?
わっかりませーん
これも、わからんです。
ミヤマリンドウ?ミヤマリンドウなの??
うーん、トリカブト?
わお!これはナナカマド!たぶん合ってる。
黄色い花。
おそらく、キンポウゲ。
なんか紫でセクシーな花。
年取ったら花を眺めつつと思ってたけど、これだけ特定するのが難しいとは・・・
見つけたら写真撮って、あとで確認するのも頑張ってみようかな。
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